Boss Death もし言うとおりに動く人間が欲しいなら、自由という概念を教えなければいい。 もし操り人形が欲しいなら、―― 私は最善を尽くしたと彼は言う。僕は冷めた目で彼を見る。多分、僕達は永遠に相入れることは無いだろう、それくらい彼と僕の立ち位置はかけ離れている。彼は語り続ける。「あなたさえいなければ。」ああ、何度目だろう。「あなたさえいなければ私の計画は!」そんなこと何度だって言われてきたことだ。プラズマ団を倒しても、彼らの思想は途絶えることは無かった。彼らの思想に共感する人は少なからずいたのだ。そこらじゅうで僕に非難の目を向けてくる人達もいる。あなたがいなければポケモンはもっと幸せだっただろうに、と。英雄とは辛いものなのだということを初めて知った時だった。Nは幼少からこんな目にあっていたんだろうかと考えると哀しくなって仕方なかった。ある意味それが僕の救いだった。そしてNを(僕を)、こんなことにした彼が許せなかった。怒りを露わにし、Nと同じ緑色の髪を振り乱し感情を吐き出す彼に言う。 「もういいかい、ゲーチス。」 「なに?」 「もう御託はいいかって聞いてるんだよ。」 ようやく見つけた僕達の敵を打てることに歓喜が湧き立つ。彼は犯罪者で脱走者だ、手加減の必要はない。 「ラストバトルだ。」 さぁ、始めよう。 |
英雄なんてそんなものでしょう? / 101031