Like dreaming, きっときっと、俺達は仕方ないくらい歪んでるんだ。精神も思考もどこかどこか須く。 だから、 真っ赤な真っ赤な血を撒き散らす傷口を意にも解さぬように(実際痛みも殆ど感じていないのだろう、まったくもって、流石としか言いようがない。)道路標識を振り回す彼を見ては自分にもあんな力があればと諦めと羨望の混じった気持ちが湧きあがる。きっとこの言葉を彼に伝えたらまたあの黙っていれば弟似の顔を歪めて破壊行動に勤しむのだろうけど。と、顔の少し手前を標識が掠めた。危ない危ない、少しでも隙を見せたらこれだ。相変わらず腕からだくだくと血を流している彼は、間合いを掴みきれなかったのが不満だったのか舌打ち一つ。その瞬間、僅かに開いた口から見えた舌は腕を伝い落ちる血と同じくらい赤かった。ゆっくり地面を侵食していく赤色に、ああ、俺は地面と同じだったんだなとなんとなく思った。 (ただ、彼がそこにいた。それだけの理由で、なすすべもなく染まっていくその地面に。) ねぇ、本当に。俺達はどうしようもないくらい歪んでる。 だから――伝えたい言葉は殺気に変えて、ナイフと一緒に君の身体に直接捻じ込んであげる。きっと君は気付いていても気付かないふりをするだろう。この、俺達の間にある歪んだ絆を知るのが怖くて。 それでいい。君は誰も愛さず愛されずな化け物でいいんだ。俺は君以外の全ての人間を愛する。そして俺たちは今日も殺し合う。それで、いい。 歪んだ鈍く光るナイフを彼に向けて、真っすぐな傷を彼の身体に刻みつけた。 |
この醒めない夢みたいな現実の中で、 / 100418