だっていつだって彼は彼女のヒーローだったのだ。

相変わらずね、と龍可は龍亞の後ろ姿を見ながら溜息をついた。その姿はあっという間に轟音と共に街のなかに消えた。いくら成長したってあの性格は変わりやしない。まぁ、別に変わってほしいなんて思ってないんだけどさ。口の端に知らず知らずの笑みがこぼれた。
「龍可!」
友達がこちらにやってくる。二人とも龍亞に会いたがっていたけど、残念。龍亞はもう行っちゃったよ。なんて。
遊星とジャックに比べてまだまだなんて言ったけど、それでも龍亞は格好良くなった。それこそ、一目見た女の子を蕩けさせるくらい。勿論、デュエルの腕も上がった。まぁあのチームに居たんだから当たり前なのかもしれないけど。今ではもうすっかり有名人になった仲間達を思う。皆頑張ってるんだ。私はそれを格好良いと思う。私もいつかあんなふうになれたら。
……ううん、なりたいんじゃない。なるんだ。私は、私の道を歩んでいく。龍亞と一緒に。私の、ヒーローと一緒に。


吹き抜けた風に、未来を馳せた。 / 110505