それは確かに光で希望で、きっとその力があったから俺達はここまでくることが出来たのだと思った。そう彼に思った通り伝えたら、笑われた。むっとして睨み、名を呼んで諌めると、彼はそういう意味ではないといつも通り尊大な様子でこちらに言う。どういう意味だと聞くと、分かってないところが面白いんだとまた笑う。もう一度名前を呼んだ。
「ジャック。」
彼はそれでようやく笑いを止め、俺に言う。
「確かにお前のもつスターダストドラゴンは光であり希望だ。だが俺達がここまで戦ってこれたのはそのカードのおかげじゃない。」
そこで彼は一旦言葉を切り、俺に向きなおる。鋭い紫の目が俺を捉える。俺はその目をしっかりと見据える。
「例え赤き竜の導きであろうとも、世界を守ろうと思ったのはお前で実現したのもお前だ。それを誇れ。俺達と力を合わせこの世界を守ったこと、そして彼等の未来を守ったことを誇れ。お前には、俺達にはその権利と義務がある。」
そして、彼は門出の準備があると俺に背を向けた。俺は思わずその背に声を掛けた。
「ジャック!」
彼が立ち止まる。振り向きはしない。俺はそのまま感情に流されたかのように言葉を続ける。
「お前がいなければきっと俺はサテライトで燻っていた。例え長官の謀ったことだったとしても俺をあの街から連れ出してくれたのはお前だ。俺の始まりはきっとお前だった。」
あの頃と、今までの記憶が走馬灯のように脳内に流れる。なんだかすこし泣きそうになった。それをぐっと堪えて続ける。

「ありがとう。」
「……それは、こちらの台詞だ。」
(全ての始まりをくれて。君がいてくれたことに精一杯の感謝を。)


彼はそう呟いてそのまま振り返ることなく俺の家を出た。ああ、照れくさかったのだな、と彼の心中を察して一人くすくすと笑った。そして手の中のカードたちをみつめる。俺とずっと一緒に戦ってきたカードたち。多分、これからも一緒に戦っていくカードたち。こいつらがいる、そしてあいつらとの絆があるなら、俺はきっとこの先絶望はしないだろう。
だから俺は未来へと進んでいけるのだ。


さぁ、明日へと進もう。きっとその先には輝かしい未来が待っている。


Happy end. / 110503