lullaby,





僕の世界はオールグリーン、正常過剰に廻っている。

あのとき。
僕の世界が一瞬で強烈な赤色に染まったのは彼女のせいに間違いはないのだけど、その赤く染まった世界は不思議と今まで生きてきた世界より心地良かったのだ。だから僕は彼女を怨まないし、彼女に会いたいとひたすらに願う。きっと彼女のことを恋い焦がれるように想うのは僕だけじゃなく他にも沢山いるだろう。(あんなにも強烈な赤色だ、いない訳がない。)それでも。いつか彼女とまた会える日が来ることを僕は願いつづける。

僕の世界はオールグリーン、正常過剰に廻っていた。
僕の世界はシグナルレッド、君を中心に廻っている。

死の間際、たとえ死に直面していた脳の起こした幻覚だったとしても。君に死ぬ前に出会えた、僕はとても幸福だった。あの大きな戦争のさなか、君と初めて出会ったときから、もしかしたら僕のこの結末は決まっていたのかもしれない。あの日、あの赤色に出会ったときから。だとしたら僕は本当に−−幸せ者なのだろう。まったくもって、悪くない。

僕の世界はシグナルレッド、君を中心に廻っていた。
僕の世界はシグナルレッド、君に抱かれ終を告げる。



彼は笑って死んでいった / 100821