It's my shine.



きっとお前にとって俺は只の通過点に過ぎないんだろう。お前はいつだって、そういうやつだった。俺が勝手にライバルと思って、必死になって追いかけていただけ。でも、多分俺達はそれで良かった。今の俺が在るのは間違いなく、あのときあのころ、お前に出会ったお陰だから。

歓声が木霊するスタジアム。ドン、と音がすると一際大きな歓声が上がって、まるで地震でもきたかのように感じた。さて、ようやく俺の出番らしい。腰をあげて、ゆっくりとステージに向かう。

(十代、お前は俺の光だった。)
いつだって決闘を楽しみ、どんな状況だって覆す、そんな決闘者。いつだって追ってきた、いつだってお前に勝つことを考えていた。(結局一度も勝てはしなかったのだけど……まぁ、それはそれで、いい。いつか必ず越えてみせる、それだけだ。)一瞬、俺達の人生が交わったのはほんの一瞬だ。だけどそれはとても俺の人生の中での大切な。あの輝かしい青春時代の結晶とも呼べる学園生活、俺はあのとき沢山のことをお前と――それから、仲間たちから教わったんだ。

ステージが近い、溢れんばかりの歓声と、眩いばかりの光と、敵意を向け勝つ気満々で俺を待つ強者。なんて――素晴らしい。そして、きっとこの道の先には、お前がいると俺は信じてる。俺が知るうちで最強の決闘者、遊城十代。


お前にとって俺が通過点というくらいの意味しかなかったとしても、お前に感じる恩は深いし、忘れようとも思わない。俺たちの世界は確かにあそこにあった。夢みたいな一瞬でもそれは大切な俺の一欠片で、お前は俺の――永遠の、光だ。





目指すもの/導くもの/もしくは大いなる羨望≒恋 / 100629