Destiny,


ONE

ねぇディオ。僕らは決して交わることのない平行線。歪みでもなく。交わることもなく。只々続いていく。お互いに肩を並べながらそれでもけして交わることなく。
だから、仕方の無いことなんだろう。始まりがあれば終わりもあるし、終わりがなければ始まりなんてあるはずがないのだから。

夢の終わりは呆気なく訪れる。


TWO

考えてみたこともなかったんだ。
俺はやつらが現れる迄、自分がそれなりに刺激が在ってフツーじゃなく、生きてきたと思ってた。でも違った。俺が足を踏み入れたのはいつ死んでも可笑しくない戦いの世界だった。とんでもなく温い世界に守られていたと知った。
だけどそれでもやっぱりどこかで、死ぬはずがないと思っていたんだろう。どうしようもなく温くて吐き気がするほど甘い発想だ。なんて、俺は。

それに気付くのは遅すぎた。


THREE

因縁としか言いようのない運命に翻弄されて、俺達は巡り逢う。やがて訪れる悲劇に気付くことなく。
あの日々の鮮やかさはいつまで経っても薄れない。そして、後悔と悲しみも。

なぁ、お前は本当に幸せだったのか?
答える声はもう、いない。


FOUR

今日も町は平和だ。
あの殺人鬼はもういない。あの恐怖の日々ももう今となっては思い出に過ぎない。
だけど、なんとなく。
あの大変だった日々を思い出して――淋しく思うのはなんでだろうか?


FIVE

ゆるり、ゆるり、廻る歯車。致命的な欠損はいつか大きな歪みとなる。
そしてそれは狂わせる。運命を。未来を。
過去を捨てた男がいた。男はいつも怯えていた。過去が自分を捕まえるとき。自分が過去に捕われる日を。
夢を見る少年がいた。途方もなく遠い夢を、だけど確かな覚悟と信念をもって。過去を心の支えにしながら、その確固たる夢に向かって。
思惑は交差し、連動し――

やがて運命の時がくる。
歯車は、無惨にも崩れ落ちる。


SIX

人とはいつか死ぬもの。
始まりがあれば終わりがある。
結局全てはいつか零になるのだ。

そして……ようやく、終焉だ。
全ては零になり、そしてまた、一となる。

次の世界で、また逢おう。



因縁 / 091017